2022年、あけましておめでとうございます。
みなさんと語り合いたいあれこれ、今日はドイツの詩人・作家のエーリヒ・ケストナー(1899-1974)の児童文学作品のひとつ、『動物会議』のお話を。
なぜ、年明け早々に児童文学なの?と思われるかもしれません。
が、この作品、まるで私たちのメッセージを代弁しているかのような内容なのです。ですので、今年のはじめに皆さんにご紹介したいと思い、取り上げました。
この作品は第二次世界大戦が終わった1949年に発表されたもの。
二回の世界大戦を経験して、もう戦争はこりごりだ、世界平和に向かって新たに歩みだそう、と各国が動き出し、国連も作られ、主要各国を中心に戦後のさまざまな課題について何度も何度も会議が行われていた時代が背景にあります。
作品のあらすじを簡単にまとめてみると、人間たちは南アフリカのケープタウンで第87回の会議を開催しようとしています。一方で、会議ばかりしていてまとまらない人間にあきれた動物たちが、みんなで協働して、同日に第一回で最後の動物会議を開催するべく動き出します。
動物会議の言い出しっぺの一人(一匹?)、シロクマのパウルが、会議の開会で打った演説。
「われわれがここに集まったのは、人間の子どもを助けるためです。
なぜ?
人間自身はこの彼らのもっとも重大な義務をゆるがせにしているからです!
われわれは一致して、再び戦争や苦しみや革命をおこさないように、要求します!
そういうものはやめなければなりません!
なぜなら、やめることができるのだからです!
それゆえ、やめる義務があります!」
これを人間たちの会議にぶつけた動物たちは、人間たちの書類を隠したり、さまざまな行動をとって態度を改めるように要求していきます。
そして最後に、なんと大胆にも世界中の子どもたちを人間の手の届かない場所にかくまってしまうのです。
子どもたちの大切さにようやく気付いた人間たちに、話の最後、動物会議のメンバーが調印させた「永久の平和条約」は…。
「われわれ、世界のすべての国の責任ある代表者たちは、生命財産にかけて、つぎの諸点を実行する義務を負う」
- 国境をすべて取り除く。
- 軍隊の撤廃。戦争の放棄。
- 警察は弓矢のみ使用。科学が平和に使えるように監視。
- 役所、役人、書類棚は最小限度に。「区所は人間のためにあって、その逆ではない」
- 役人の中では教育者を最も重んじること。「真の教育の目的は、悪いことをだらだらと続ける心を許さない、ということでなければならない!」。
- 人間の子供たちの将来のために、そして地球で暮らすすべての動物とその子供たちの将来のために、人間が汚した地球をきれいに戻さなければならない。
これはあくまで児童文学で、ケストナーがメッセージを発した相手は子どもたちだったのですが、「争いをやめ、未来のために、子どもたちのために大人たちは話し合って、平和を実現していかなくてはならない」という彼の問題提起は、現代の大人にこそ発しられているように感じます。なによりも、この本は最初に「子供と 識者のための本」と書かれているのですから。
子どもが大事、教育が何よりも尊い、争いは絶対にダメ、というケストナーのメッセージはまさにNVPのメッセージと同じ、と言っても過言ではありません。
この本は日本では1962年に岩波子どもの本として小判のカラー絵本として発売されましたが、長い間、品切れとなっていました。筆者も子ども頃に読んだ記憶があり、最近、読み直してみたいと思っていたのですが、古本屋さんでもなかなか出会えずじまいでした。
1999年、この『動物会議』が岩波書店から新たに大型絵本として発売されたときには、時代がこの本を欲しているのでは、と思ったものでした。
条約の最後の文言は、国連が提唱するSDG’sのさきがけでもあります。そして昨年、開催されたCOP26の「妥協」協定のなんとも不甲斐なかったことか…。
もしも興味を持っていただけたならばぜひ、手に取ってみてください。子どもさんと一緒に読んでみてください。
最後に、NVPのトレーナー養成講習会のご案内です。NVPのトレーナーは、若者と子どもたちにNVPの平和教育を伝授していただく方々のことです。今年初めての講習会を2月に二日間、開催します。
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2022年、今年もコロナに負けず、素晴らしい一年にしましょう!!
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